ゲンロンβ55|編集長=東浩紀

2020年11月20日[金]発行

  • 1|プラープダー・ユン ベースメント・ムーン 第2回 #37
    2069年、全体主義国家連合「WOWA」は「人工意識」のテクノロジーを用いて、人々から芸術と文化を奪おうとしていた。タイ軍事クーデター後の閉塞状況が投影されて書かれたSF長編小説の連載第2回です。
  • 2|東浩紀 観光客の哲学の余白に 第23回 無料という病、あるいはシラスと柄谷行人について #37
    先日オープンした配信プラットフォーム「シラス」。有料配信のみを提供する「シラス」の仕組みの裏には無料こそが諸悪の子根源であるという主張がありました。無料という病から脱却する新たな交換様式を考えます。
  • 3|小松理虔 当事者から共事者へ 第8回 再生と復興のナラティブ #37
    福島県双葉町にある「東日本大震災・原子力災害伝承館」に訪れた小松さん。展示に、震災以前の歴史や文化、そして原発事故がなぜ起きたかを語るものが抜け落ちていることに気づき、正しい「伝承」の形を思索していきます。
  • 4|星野博美 世界は五反田から始まった 第23回 回避 #37
    親族が戦争で亡くなっていないという星野さん。彼らは本当に運がよかっただけなのか。戦火に翻弄されながらも、ひそかに、軽やかに生き抜いた一族の系譜をたどります。
  • 5|春木晶子 あなたに北海道を愛しているとは言わせない(後篇) 「世界の終り」とナチュラルピースフル・ワンダーランド #37
    村上春樹と北海道を廻る論考の後篇です。『羊をめぐる冒険』で示された北海道を覆う悪に対抗するヒントを、春木さんは『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』から読み解きます。
  • 6|伊勢康平 あたらしい東洋哲学はどこにあるのか 安藤礼二×中島隆博「井筒俊彦をこえて」イベントレポート #37
    ゲンロンカフェで行われた安藤礼二さんと中島隆博さんによる井筒俊彦を通して東洋哲学を考えるイベントのレポートです。ふたりはあたらしい東洋哲学の可能性は空海を読みなおすことにあると語っています。

表紙写真:タイの首都バンコクの旧市街、パドゥンクルンカセーム運河にかかるピッタヤサティアン橋からの眺め。この橋は1861年に、当時の国王ラーマ4世の命を受けて建造された。『ベースメント・ムーン』の冒頭部(『ゲンロン11』掲載)では、作家プラープダーが謎のメッセージに導かれるままこの橋を渡る。その後到着する「白い建物」は、写真に映る大きな建物の右手あたりに位置するか。撮影=プラープダー・ユン

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