ゲンロンサマリーズ(1)『「当事者」の時代』要約&レビュー|徳久倫康

初出:2012年5月22日刊行『ゲンロンサマリーズ #3』

佐々木俊尚『「当事者」の時代』、光文社新書、2012年
レビュアー:徳久倫康

 

 
 

要約
 
夜回り共同体
● 日本では記者クラブ所属の大手メディア記者と権力者が、言外の信頼に基づく夜回り共同体を形成している。
● 特定の場所に人と情報が集まる記者会見は、2ちゃんねるのような広場型メディアに似ているが、情報は希薄。
● 夜回り共同体は一対一の関係の連鎖で作られ、ツイッターのようなフィード型メディアに近く、関係性が濃密。
● 守秘義務がある以上、濃密でハイコンテキストな共同体なしに、権力者から情報を引き出すことはできない。
● 記者は権力に接近しつつも、弱者の意見の代弁者として、自分を正当化している(マイノリティ憑依)。

 

マイノリティ憑依の歴史
● 1965年ごろまでの日本人は、自分たちを戦争の被害者と認識しており、加害者としての自覚がなかった。
● ベトナム反戦運動をきっかけに、日本人は被害者だが、同時に加害者でもあるという自覚が生まれた。
● しかし70年代に入ると、一部で弱者への過剰な同化が始まり、次第に加害者視点は再び失われていく。
● マイノリティ憑依は、視点の分裂や戦死者への後ろめたさを同時に解消するための、画期的な手段だった。
● 人々は極端なマイノリティに憑依することで、地位や収入差を超え、自分が普通=中流だと確認できた。
 
当事者の時代へ
● 経済成長が行き詰まった以上、報道をバラエティ番組化させてきたジャーナリズムは見直されるべきだ。
● ソーシャルメディアで誰もが情報発信者となったいま、マイノリティ憑依は通用しない。
● みな自分の立ち位置を他人に投影して安心するのはやめ、各人独自の方法で当事者を引き受けるしかない。

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1988年生まれ。株式会社ゲンロン取締役。早稲田大学文化構想学部に在学中、東浩紀の講義を受けた縁で、のちゲンロンに入社。社内ではいまや東に次ぐ古株になってしまった。たまにカフェで聞き手を務めたり、友の会総会でクイズ大会を企画したりしている。ゲンロンの刊行物のほか、『QUIZ JAPAN』(セブンデイズウォー)などに寄稿。2020年に始まった「日経 1問グランプリ」で審査員を務める。

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