超天晴!福島旅行 ゲンロンカフェ版(後篇)|高間響

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初出:2015年7月10日刊行『ゲンロン観光通信 #2』
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【作品概要】
「超天晴! 福島旅行~福島第一原発舞台化計画黎明編」は、高間響が主宰する劇団「笑いの内閣」の第19回公演作品。2014年に京都アトリエ劇研、こまばアゴラ劇場で上演され、掲載脚本は、2015年3月18日にゲンロンカフェでの上演用に30分に再構成されたバージョンである。本作は、ゲンロンの『福島第一原発観光地化計画』に着想を得て作られた。舞台は滋賀県のとある私立高校、校長や教師、旅行会社社員といった関係者たちが、生徒たちの修学旅行の行き先を福島にするか否かで揉めている。生徒たちがはしゃぎながら被災地を観光するなんて不謹慎?!波乱の福島修学旅行計画、後篇も笑い満載でお送りします。(編集部)
 



登場人物

江田珠実 1年B組担任

山野辺雅人 1年A組担任

間久部録郎 教頭

青居邦彦 校長

猿田博士 理事長

牧村奈々 ドラマチック・ドリーム・ツーリスト社員

 





牧村入って来る

 

牧村  失礼します 珠実  はい 牧村  会議室ってこちらですか 珠実  はい。どちら様ですか 牧村  あ、すいません、私ドラマチック・ドリーム・ツーリストの牧村と申します 珠実  あ、DDTの 牧村  はい 珠実  では今から会議に? 牧村  ええ、間久部さんから、説明に来てほしいと呼ばれまして 珠実  そうだったんですね 牧村  なんか昨日は大変だったみたいですね。福島案出したとたん、怒りだした先生がいてそのまま流れちゃったとか
珠実  まあ、大丈夫ですよ。流れたのは理事長が見たいテレビがあったからってのもありますし

牧村  あ、すいません。あなたは

珠実  はい、1年B組担任の江田と申します

牧村  あなたが珠実さん

珠実  そうですが

牧村  間久部さんから聞いてます

珠実  そうなんですか

牧村  現地ガイド集めをしていただいたそうで

珠実  ま、まあ

牧村  たいへん助かりました。ありがとうございます

 





牧村 珠実に抱きつく

 

珠実  え?

 

間久部入って来る

 

間久部 ちょ、なにやってるんだ 牧村  なにって、会議室探してたんですよ 間久部 勝手に校内歩くなと言ってただろう 牧村  そうでしたっけ 間久部 勘弁してくれ
牧村  この子が、例の珠実さん?

間久部 なに、喋ったのか?

牧村  はい

間久部 余計な事喋ってないだろうな

牧村  もちろん

間久部 ならいいが

牧村  えー、でも言ってたより可愛いじゃないですか

間久部 だからそういう余計なことを言うなって

牧村  どこまでやっちゃったんですか?

間久部 だから

牧村  悪い奴だなー

間久部 うるさいな

 





山野辺入って来る

 

山野辺 おはようございます

 

青居入って来る

 

青居  お、みなさん、お揃いですかな。後は

 

猿田入って来る

 

猿田  よ。お待たせ 青居  理事長、遅いですよ 猿田  いや、今日は遅くなっても良いように録画してたから 青居  録画になんでそんなに時間がかかるんですか 猿田  いやな、録画しようと思ったけどハードディスクがいっぱいでさ 青居  だったら消せばいいじゃないですか 猿田  いやでもまだ見てないマッサンがいっぱいたまってて見ないと消せないし 青居  1回15分の朝ドラを何回分ためてるんですか 猿田  はい、というわけで本日は双方資料も用意してくれたんで、プレゼン対決といきましょう。究極の旅行VS至高の旅行みたいなね

高間響

劇作家、演出家。1983年北海道生まれ。小5ではじめて脚本をかき、岩見沢西高校時代に演劇を始める。佛教大学劇団紫を経て、2005年に笑の内閣を旗揚げ。芝居中にプロレスをするプロレス芝居と、時事ネタコメディを得意とする。すべての公演で脚本を執筆、多くの作品の演出を手がける。代表作に『天晴!福島旅行』、『ツレがウヨになりまして』、『非実在少女のるてちゃん』、『65歳からの風営法』、『ハムレットプロレス』など。
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