【 #ゲンロン友の声】Alt-rightとオタク文化の関係について

 最近、ラジオでオルタライトなるアメリカ大統領選候補者トランプさんの支持者がいることを聞きました。そこで引っかかったのは、そのオルタライトなる支持者は、アニメのアイコンを使ってる人が多いとのことでした。これは、アニメがそういうアメリカの右にも左にも浸透していることを意味しているという見方をすれば、すんなりうなずける話しなのですが。このオルタライトなるものと日本のネトウヨは本当に同じものなのか。同じものであるならば、その二つに共通する今のアニメなるものは、どういうものだと捉えられるのか。お聴きしたいです。(埼玉県, 20代男性, 友の会会員)

 これは難しい質問です。ぼくも興味を持っています。まず第一に、オタク=ネトウヨ=排外主義者みたいな等式には警戒しなければなりません。それは実証がありませんし、アニメやゲームの文化は長いあいだ不当に低く評価されてきた歴史があります。その歴史には配慮しなければなりません。ただ、そのうえで、特定の文化表現と特定の政治的行動のあいだに、個々の作者の意志とは関係なく(個々の例を言い出せばつねに例外はありますので)集団として親和性が生まれることはどんな表現にでも起こることで、それは日本のオタクでも例外ではないと思います。しかも、もしその「表現と政治の親和性」が、日本とアメリカのあいだで国境を越えて共通しているのだとすれば、その現象は、「アニメ的なもの」(これそのものがたいへんに定義が難しいものですが)の本質を知るうえで重要なヒントになるはずです。いまの時点では、あまりにも研究もデータも少なく、これ以上には踏み込めません。ただ、ひとつ言えるのは、アニメ文化やキャラクター文化というのはあくまでも趣味的なもので、政治的態度とは関係がないのだと主張することは、ますます難しくなっているということかと思います。(東浩紀)
+ その他の記事

1971年東京生まれ。批評家・作家。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。株式会社ゲンロン創業者。専門は哲学、表象文化論、情報社会論。著書に『存在論的、郵便的』(新潮社、第21回サントリー学芸賞 思想・歴史部門)、『動物化するポストモダン』(講談社現代新書)、『クォンタム・ファミリーズ』(新潮社、第23回三島由紀夫賞)、『一般意志2.0』(講談社)、『ゲンロン0 観光客の哲学』(ゲンロン、第71回毎日出版文化賞 人文・社会部門)、『ゆるく考える』(河出書房新社)、『ゲンロン戦記』(中公新書ラクレ)ほか多数。

ゲンロンに寄せられた質問に東浩紀とスタッフがお答えしています。
ご質問は専用フォームよりお寄せください。お待ちしております!

注目記事

ゲンロン友の声・アーカイブ

ピックアップ

NEWS

関連記事