【 #ゲンロン友の声】ひとはなぜサインを欲するのでしょうか?

シェア
 東さんはよく『ゲンロン』にサインをされていますが、サインとは何なのでしょう。なぜ人はサイン(肉筆)を欲するのでしょうか。東さんのサインを欲する人に対し、東さんはどのような感情を抱いていますか。(匿名)
 ひとがなぜサインを欲するのか。サイン会をやって自著を売りさばいている立場で言うのはまずいかもしれませんが、率直に言うとぼくもよくわかりません。とくに昨今では、ぼくのサインのみならず、ぼくの描いた下手なラムちゃんの絵などを求める読者も増え、困惑は深まる一方です。彼らはいったいなにを欲しているのか。そもそもぼくの本を読んでいるのか。いやそれ以前にぼくをだれだと思っているのか。すべてがナゾだらけですが、ひとがそれを欲するのであれば、それを提供するのがまたビジネスの基本でもある。というわけで、ぼくはまた今日もサインを書き続けるのです。(東浩紀)

東浩紀

1971年東京生まれ。批評家・作家。東京大学大学院博士課程修了。博士(学術)。株式会社ゲンロン創業者。著書に『存在論的、郵便的』(第21回サントリー学芸賞)、『動物化するポストモダン』、『クォンタム・ファミリーズ』(第23回三島由紀夫賞)、『一般意志2.0』、『弱いつながり』(紀伊國屋じんぶん大賞2015)、『観光客の哲学』(第71回毎日出版文化賞)、『ゲンロン戦記』、『訂正可能性の哲学』、『訂正する力』など。
    コメントを残すにはログインしてください。

    ゲンロンに寄せられた質問に東浩紀とスタッフがお答えしています。
    ご質問は専用フォームよりお寄せください。お待ちしております!