ゲンロン友の会第14期総会「人間拡張」完全レポート

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webゲンロン 2024年4月5日配信

 2024年3月30日から翌31日にかけて、友の会第14期総会「人間拡張」が開催されました。今年度をもって建て替えられる五反田TOCビルをはじめ、計3つの会場で執り行われた今回は、のべ300人以上の方々にご来場いただいたうえ、生配信も大盛況でした。5つのトークイベントに加えて、マジックショー、講談、オークションなど数多くの催しが放送され、現在はアーカイブ動画が販売中です。

 配信チケットは5月6日(月)まで、ゲンロンショップにてご購入いただけます(視聴期限は5月末まで)。会員でない方は、友の会への入会がセットになったお得なプランもございますので、この機会にぜひご検討ください。

 はたして人間はいかに「拡張」されたのか。のべ16時間以上にわたった総会の模様をレポートします。

 

ゲンロン友の会 第14期総会【友の会会員用チケット】
URL= https://genron.co.jp/shop/products/detail/832

ゲンロン友の会 第14期総会【友の会入会+チケットセット】 
URL= https://genron.co.jp/shop/products/detail/833

第14期総会特設ページ
URL= https://webgenron.com/articles/sokai14_1

  1. 第1部(TOCビル)
    1. 1. 朝吹真理子×弓指寛治×上田洋子 芸術は想像力を拡張するのか?──奥能登の経験から
    2. 2. こども教室
    3. 3. 川上量生×清水亮×東浩紀 AIは哲学と経営を拡張するのか?
    4. 4. ゲンロン・シラスコミュニティマーケット
    5. 5. クジラブース
    6. 6. 日本酒バー
    7. 7. 第2ステージ
  2. 第2部(ゲンロンカフェ/イルモンドビル)
    1. 1. 山田胡瓜×さやわか×東浩紀 AIは人生とマンガを拡張するのか?
    2. 2. 石戸諭×岩尾俊兵 現場は拡張できない──AIにはできない幸せの創造
    3. 3. 平山亜佐子×上田洋子 はみ出しものは拡張する──活字に残る「破天荒」
    4. 4. シラサーと語ろう!

第1部プログラム
第2部プログラム

第1部(TOCビル)

 TOCで行われた第1部では昨年より広く借りた会場を、第1ステージこども教室コミュニティマーケットの3つに割り当てました。コミュニティエリアの中には小さなステージ(=第2ステージ)を設け、さまざまな出し物を配信しました。

朝吹真理子×弓指寛治×上田洋子 芸術は想像力を拡張するのか?──奥能登の経験から

 総会最初のトークは小説家の朝吹真理子さん、アーティストの弓指寛治さん、上田洋子による鼎談でした。石巻市を舞台にした「Reborn-Art Festival 2021-22」で共同制作を行なったおふたり。制作のパートナー同士の打ち解けたやりとりが印象的でした。

 前半は弓指さんによる「奥能登国際芸術際2023」での展示「プレイス・ビヨンド」の解説。被災前の奥能登の風景をスクリーンに投影しながら、弓指さんがひとつひとつの作品を丁寧に説明します。続く後半では、朝吹さんが表参道の山陽堂書店さんにて開催した初の個展「道の記憶」で展示したドローイングを解説しました。ポップな色彩で描かれた動物たち。しかし上田がそのモデルを尋ねると、「猫の亡骸です」「吐瀉物をついばむ鳩です」と驚きの返答が続きました。朝吹さんのチャーミングな語り口も見どころです。

こども教室「ゆめのみほん市」

写真提供=朝吹真理子

 トークを終えたばかりの朝吹さんと弓指さんは、急ぎ足で5年ぶりに復活したこども教室へ。「ゆめのみほん市」に集まった子どもたちは総勢32名。たいへん賑やかな雰囲気で開催されました。

 各自持ち寄った資材に加えて、会場に用意された絵の具や毛糸を自由自在に組み合わせていく子どもたち。朝吹さんと弓指さんによるサポートを受けながら、思い思いに「ゆめ」を制作しました。出来上がった作品を蚊帳とポールに吊り下げて見事完成! 短時間での制作とは思えないあまりの力作揃いに、講師のおふたりもたいへん驚いていました。今後のこども教室の展開にもご期待ください。

川上量生×清水亮×東浩紀 AIは哲学と経営を拡張するのか?

 第1ステージふたつめのトークには、川上量生さん、清水亮さん、東浩紀という経営者の顔をもつ3人──というより経営者の枠には収まりきらない3人が登壇。ドワンゴの誕生秘話から未来のヴィジョンまで、会員限定ならではの固有名盛りだくさんのトークが繰り広げられました。サービス精神をふんだんに発揮する川上さんに対して、「それは本当のことすぎるけど、言っちゃって大丈夫?」と清水さんがストップをかける場面も……。

 念のため補足しておくと、いまやAIのスペシャリストとして知られる清水さんはドワンゴ草創期の社員で、退社後もニコニコ動画の開発、ジブリとの協力など重要な場面で川上さんに力を貸してきました。そんな盟友のおふたりから「ここでしか話せない話」を聞き出していった東は、終盤に「川上さんがやってきたことは脱構築である」と結びます。それはどういう意味なのか? 歴史に残る……いや、これを参考に歴史が書かれていくであろうトークをお見逃しなく!

ゲンロン・シラスコミュニティマーケット

 ゲンロン・シラスコミュニティマーケットは、エリア面積も出店ブース数も昨年からパワーアップ。昨年新設された法人会員から、落合陽一さん創業のピクシーダストテクノロジーズ株式会社が出店されました。同人誌、お菓子、陶芸品、グッズなど、多彩な品々が会場を囲みます。コミュニティエリア内に設けられた第2ステージでは、ブースの出店者によるPRタイムを放送したので、ぜひ当日の活況を感じ取ってみてください。

クジラブース

 総会でお披露目となった新サービス「クジラ」。コミュニティマーケットの一角にデモブースを出店しました。クジラとは、ゲンロン完全中継チャンネルの番組およそ1800時間と東浩紀の著作を学習させた、AIによる対話型の司書(検索)サービス。ブースではクジラのデモ体験に加えて、「あずまんAI」のアバターをモーションキャプチャーによって動かすコーナーが設けられました。童心に返り、全身を使ってアバターを動かす大人たち。開発を担当した清水亮さん川上量生さんとブースを巡る貴重な一幕もありました。サービスのリリースは4月15日を予定しています!

日本酒バー

 毎年恒例の小松理虔さんによる日本酒バー、今年はますますパワーアップし、なんと14本の一升瓶がずらりと長机を埋め尽くしました。もちろんどれも福島ゆかりのお酒。「宮泉」「山の井」「ロ万」「会津娘」「自然郷」「彌右衛門」「超」「風が吹く」「御湖鶴」「あぶくま」「大七」「又兵衛」「磐城壽」×2種。錚々たる銘柄を前に、理虔さんの立板に水の日本酒紹介は今年も絶好調。お客さんの質問、感想、酔談も加わってブースはさながら角打ちのような様相を呈し、3杯セットのチケットを何枚も買うリピーターも続出しました。

 ちなみに今年の日本酒バーで一番人気だったのは「自然郷bio」。理虔さん曰く「トレンドだったモダン系をさらに更新した、日本酒の最前線」の味に、多くのお客さんが舌鼓を打ちました。開始早々品切れになったため、飲み逃した方も多かった模様です。東京ではなかなか見かけない貴重な地酒ですが、来年の日本酒バーでもこの味が味わえる! ……かも?

第2ステージ

 第2ステージでは、上田洋子の開幕挨拶にはじまり、マジックショー、オークション、講談、院生チームのトークとおなじみの演目が並びます。これら定番のほかに、2つの非公式ミニ総会「ぶんまる」と「らんまる」のスタッフトーク、ウクライナ支援団体 Bedryk の活動紹介、劇団「左岸族」の演劇パフォーマンスなどが行われました。プログラムのトリを飾った玉田玉山さんによる講談「訂正可能性の講談」では、ほとんどの観客がステージ付近に集まり、会場全体が笑いに包まれていました。

 そして東浩紀による閉幕挨拶では、来年の総会が2025年3月22日に開催されることが発表されました。

第2部(ゲンロンカフェ/イルモンドビル)

山田胡瓜×さやわか×東浩紀 AIは人生とマンガを拡張するのか?

 ゲンロンカフェに会場を移した第2部のトークには、『AIの遺電子』が昨年アニメ化されたマンガ家、山田胡瓜さんが初登場! 序盤早々、山田さんと東浩紀が同じ小学校に通っていたことが判明し、グッとお互いの理解が深まったところから山田さんの作品の話へ。技術が進歩しても変わらない人間の悩みや愚かさをめぐって、議論が白熱しました。

 後半は山田さんが脚本協力で携わった映画『シン・仮面ライダー』の話題に。秘密組織ショッカーが「Sustainable Happiness Organization with Computational Knowledge Embedded Remodeling」の略語へと「訂正」された本作。このアイデアも山田さんが出したそうなのですが、これに対してさやわかさんは「持続可能な幸せっていうのは、まさに田園都市線的な思想ですね」とコメント。きれいにまとまったかと思いきや、その後は毛、そして性の話へ──人間の自由さと不自由さを象徴する深夜のトークなのでした。

石戸諭×岩尾俊兵 現場は拡張できない──AIにはできない幸せの創造

 イルモンドビルは満員御礼、立ち見も出るほどの盛況ぶりでした。ひとつめはゲンロンではおなじみのジャーナリスト石戸諭さんと、『世界は経営でできている』がベストセラーの岩尾俊兵さんによるトークが行われました。

 岩尾さんによれば日本社会で問題となっている経営層 vs 従業員、高齢者 vs 若者、etc. という対立は、「経営」概念の「拡張」によって解決できるといいます。理想論では終わらない、現場に軸足を置いた経営と、それがつくり出す幸福について考えます。ゲンロン初登場にして圧倒的熱量で語った岩尾さん。石戸さんとの息の合ったトークをぜひご覧ください!

平山亜佐子×上田洋子 はみ出しものは拡張する──活字に残る「破天荒」

 ふたつめは、シラスチャンネル「こちら文献調査局」が好評の平山亜佐子さんと上田洋子によるトーク。さまざまな人の本棚を訪問するシラスの「書棚探訪」の裏話や、平山さんと吉川浩満さんの「あれはなんだったんだろう」という過去のちょっと不思議なエピソードを集める活動についてお聞きしました。会場から募集したところおどろきのエピソードが飛び出し、それに刺激を受けた上田がロシア版「あれはなんだったんだろう」を語りだす一幕も。みなさんのふとした記憶も「拡張」してくれるかもしれません。

シラサーと語ろう!

 イルモンドビルでの最後のイベントは「シラサーと語ろう!」でした。今年は浅子佳英さん、唐澤頼充さん、近内悠太さん、平山亜佐子さんの4人のシラサーが出演。会場ではスタッフが手持ちカメラで各シラサーのトークを部分的に中継もしました。普段はひとつのトークイベントを行う会場で、少人数で話す4つのトークが進行していく様子はスタッフにとっても新鮮。深夜らしい深く濃い対話が繰り広げられていました。アーカイブでは会場の様子も見ることができますのでぜひ。


 以上、「人間拡張」完全レポートでした。これだけ豪華なプログラムを3,960円(税込)で視聴できるのは総会だけ! チケット購入は5月6日まで、視聴期限は5月末までですのでお早めのご購入をおすすめいたします。

 そして来年の総会は2025年3月22日に決定。来年もみなさまとお会いできることを楽しみにしています!

ゲンロン友の会 第14期総会【友の会会員用チケット】
URL= https://genron.co.jp/shop/products/detail/832

ゲンロン友の会 第14期総会【友の会入会+チケットセット】 
URL= https://genron.co.jp/shop/products/detail/833

第14期総会特設ページ
URL= https://webgenron.com/articles/sokai14_1

友の会第14期

ゲンロン友の会14期の詳細はこちらから! https://webgenron.com/tmnk14
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