ゲンロン・セミナー第2期「1000分で『まちがい』学」特設ページ

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webゲンロン 2024年1月9日 配信

 

 ながく喋る学問の面白さを味わい、さまざまな分野の専⾨家たちと「いま」を考える。教養講座「ゲンロン・セミナー」の第2期が2024年2月からスタートします。

 「ゲンロン・セミナー」は、昨年ゲンロンカフェ10周年の企画として爆誕した、先端的に知を牽引する講師陣による連続講義です。講義は⼟曜⽇の午後、ゆとりのある時間帯に開講します。講義に参加する聞き⼿の⼤学院⽣は、ゲストの講義に質問を挟んだり話題を付け加えたりする役割を担います。ながく喋る講義によって、観客のみなさんと共に考える時間を⽣みだします。7月には、観客と聞き手がいっしょになって講義全体を振り返る「アフターセッション」も開催。対話で広がる「話しことばの学問」の⾯⽩さをぜひご体験ください。

 前回の第1期は、「月に一度の開催がちょうど良かった」「ゆるいコミュニティのなかで考えることができた」とのご評価もいただきました。もちろん、前回ご参加されていない方も大歓迎です。大学の公開講座や、一般的なカルチャーセンターとも異なる、ゲンロンならではの市民講座、ゲンロン・セミナー第2期へどうぞご参加ください。

 こちらのページには、第2期のテーマや登壇者の関心、各回のかんたんな注目ポイントをまとめました。また、「webゲンロン」ではこの企画の関連記事を随時更新予定ですので、本ページはそのリンク集としても活用していきます。ぜひご参照ください。

第2期のテーマは「1000分で『まちがい』学」

 2024年2月から7月にかけて開催する第2期のテーマは「1000分で『まちがい』学」。「正しさ」が求められる現代、古代ギリシア哲学、臨床心理学、演劇研究、認知科学・進化論、近現代史の分野で活躍する5人の講師を招き、「まちがい」の価値を問いなおす連続講義を行います。 

古代ギリシア哲学から認知科学まで──登壇者紹介

No.開催日登壇者講義テーマ
第1回2/3(土)納富信留「古代ギリシア哲学とまちがい」
第2回3/16(土)山崎孝明「心理臨床とまちがい」
第3回4/20(土)岡室美奈子「演劇とまちがい」
第4回5/18(土)吉川浩満「認知科学・進化論とまちがい」
第5回6/29(土)辻田真佐憲「近現代史とまちがい」
第6回7/13(土) 全講義をふり返るアフターセッション

※各回とも14時開始予定(第2回のみ15時開始予定)

納富信留──古代ギリシア哲学とまちがい

 

 第1回のゲストは、東京大学大学院人文社会系研究科教授の納富信留先生です。納富先生は、『新版 プラトン 理想国の現在』『プラトン哲学への旅』といったプラトンに関する著作や、『ギリシア哲学史』『ソフィストとは誰か?』など、古代ギリシア哲学全般について多くの著書を発表されています。近年では『世界哲学史』の責任編集を担当され『世界哲学のすすめ』を刊行されるなど、「世界哲学」の試みも注目されています。

 聞き手の栁田詩織は哲学・倫理学、特にカントを専門としています。古代ギリシア哲学は専門外ではありますが、カントもまたプラトンを中心に古代ギリシア哲学から影響を受けた西洋の哲学者です。講義では、古代ギリシアのさまざまな思想家たちが交わした議論や、西洋哲学中心の枠組みを問いなおす「世界哲学」の試みなど、「まちがい」から出発し、哲学という営みそのものについてもお話を伺う予定です。

 

哲学の起源から「まちがい」を問う──ゲンロン・セミナー第2期第1回「古代ギリシア哲学とまちがい」事前レポート|栁田詩織
URL= https://webgenron.com/articles/article20240122_01

山崎孝明──心理臨床とまちがい

  第2回のゲストは、臨床心理士の山崎孝明先生です。山崎先生は2021年に『精神分析の歩き方』で単著デビュー。東浩紀の『観光客の哲学』にも影響を受け、「精神分析を観光してみたいひとに向けてのガイドブック」として書かれたこの本は、広く話題を呼びました。昨年には共著『精神分析的サポーティブセラピー(POST)入門』も上梓され、精神分析の知見をより幅広い心理臨床に活かす方法を実践し紹介されています。

 聞き手の住本賢一は、東京大学大学院人文社会研究科博士課程に在籍。専門は映画史・映画理論です。映画理論の分野では、(とくにラカン派の)精神分析に影響を受けた議論も見られるのですが、今回は精神分析の他分野への応用ではなく、心理療法としての精神分析についてお聞きします。精神分析、精神分析的セラピー、POSTといったそれぞれのアプローチにおいて「まちがい」はどのような意味を持つのでしょうか。

こころが「まちがう」のは「まちがい」なのか?──ゲンロン・セミナー第2期第2回「心理臨床とまちがい」事前レポート|住本賢一
URL= https://webgenron.com/articles/article20240301_01

岡室美奈子──演劇とまちがい

 

 第3回のゲストは、早稲田大学文学学術院教授の岡村美奈子先生です。岡室先生は、不条理演劇の代表的作家として知られるサミュエル・ベケット、テレビドラマ、現代演劇を専門としています。研究のほか、早稲田大学演劇博物館館長第8代館長を務め、ベケットの代表作『ゴドーを待ちながら』の翻訳もされています。

 聞き手の青山俊之は、筑波大学人文社会科学研究科博士後期課程に在籍。研究テーマは日本社会の自己責任論。「まちがい」が起きたとき、その修復を図って原因をつい考えてしまいます。けれど、現実の人間社会は複雑だし、改善できることばかりではない。戦争が最たる例に思えます。岡室先生は不条理を「原因と結果が結びつかないこと」と言います。不条理が逆説的に描く現実と人間についてお聞きしたいです。

「まちがい」を待ちながら──ゲンロン・セミナー第2期第3回「演劇とまちがい」事前レポート|青山俊之
URL= https://webgenron.com/articles/article20240402_01

吉川浩満──認知科学・進化論とまちがい

 

 第4回のゲストは、文筆家・編集者・配信者として多面的な活動を展開されている吉川浩満先生。「人間とはなにか?」という古くて新しい問いについて、人文学の蓄積だけでなく、進化論や認知科学といった研究の最前線、AIやゲノム編集技術といった最新テクノロジーに関する知見を交えて、領域横断的に探求されています。代表作に『人間の解剖はサルの解剖のための鍵である』や『理不尽な進化』があります。

 聞き手の國安孝具は、東京工業大学環境・社会理工学院建築学系の博士課程に在籍。建築は工学としては比較的ローテクな分野ですが、人間について考えることが必要不可欠で、それが面白いところです。人文学と最新の科学技術を交差させる吉川先生の著作には多くの刺激を受けてきましたが、とくに気になっているのはドーキンスの「延長された表現型」という概念。今回は「まちがい」というテーマから、ものづくりについても考えてみたいです。

 ※ 聞き手による事前レポートを4月に公開予定

辻田真佐憲──近現代史とまちがい

 

 第5回のゲストは、近現代史研究者の辻田真佐憲先生です。辻田先生は、政治と文化芸術の関係を中心に、日本近現代史や、ナショナリズム、プロパガンダ、音楽、政治などについて、多様な切り口から、多くの著作を執筆してきました。代表作に『「戦前」の正体:愛国と神話の日本近現代史』』や『新プロパガンダ論』などがあります。

 聞き手の植田将暉は、早稲田大学大学院法学研究科の修士課程に在籍中。専門は憲法学です。「自然の権利」を題材に、気候変動に直面した諸政府がいかにそれぞれの歴史や法、さらに自然のありかたを法によって「訂正」しているかということを研究しています。今回は「まちがい」から、歴史の語り方や捉え方を考えてみたいです。

※ 聞き手による事前レポートを5月に公開予定

開催概要

開催場所:ゲンロンカフェ(東京都品川区西五反田) 会場観覧人数:50人 

 会場+配信(シラス)
通し券(第1回~第6回)一般 20,000円
 学生 16,000円
 会場参加配信のみ(シラス)配信のみ(ニコ生)
一回券(#1-5)一般 4,000円1,980円2,000円
 学生 3,000円  

※(アフターセッションのみ)2,000円、学生1,500円(講義回のいずれかにご参加の方はワンドリンクのご注文のみでご参加可能)

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